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2010年5月 8日 (土)

③大陸の花嫁

満州における花嫁養成所、「開拓女塾」では、主に満州国内から応募した女性たちが訓練を受けた。この開拓女塾では、若者たちのいる開拓団へ全員が開拓実習という形で出かけていって、開拓団の仕事を手伝いながら見合いが行われる。ここでは、行動を共にしながら一定の期間かけて相手を選ぶのだから、良い組合せができたのではなかろうか。

見合いを済ませ、大陸の花嫁となることを決意して大陸に向かう女性たちの胸中はどのようなものであったろうか。船が日本の岸壁を離れ、島影が次第に小さくなってゆく時、彼女たちは言い知れぬ不安に襲われたことであろう。弱気になる彼女たちを勇気づけ奮い立たせたものは、大陸への期待と夢であり、また、時代の風であった。昭和12年に日中戦争が始まって以来皇軍の活躍が連日伝えられていたが、実際は、日本軍は泥沼に引き込まれるように戦線を拡大し容易ならざる状況に追い込まれつつあった。このことは、彼女らの兄弟や隣近所の若者が皆召集されてゆく中で、異常な緊張感となって国民の間に伝わっていた。まさに風雲急を告げる社会状況であった。だから、彼女たちは、大陸の花嫁となることは、この大切な時にお国に尽くすことであって、当然だ、涙を流しているときではない、と皆、考えていた。悲壮感を抱く彼女たちの姿は、正に満蒙開拓青少年義勇軍の女性部隊のそれであった。 

しかし、満州に着いて、その厳しい自然の中に入っていった時の彼女たちの驚きと不安は、青少年義勇軍の若者たちが初めて満州の地を踏んだ時の此ではなかったであろう。

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「炎の山河」を連載しています。

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