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2010年5月 5日 (水)

③大陸の花嫁

―新日本の少女よ大陸に嫁げ。彼女たちの行手に待つ地獄―

 当時のマスコミは、満蒙開拓青少年義勇軍の時と同じ論調で「大陸の花嫁」を書きたてた。そして、若い女性が大陸の花嫁となって満州に出てゆくことは国に尽くす最善の生き方だという社会のムードができていった。小学校でも青年学校でもそのように教えた。だから純真な少女たちは、まわりの話を疑うことなく受け入れ、大陸の花嫁を自分の理想と結びつけ、美化して満州に渡っていった。また、当時の日本社会は男尊女卑の傾向が強い上に古い因習などが根強くあって、結婚に不自由を感じる女性が多かった。そういう女性にとって満州は社会的拘束のない新天地であって、男女の自由な結びつきが可能な所と思えたのであろう。こうして、多く女性が大陸の花嫁を志して満州へ渡っていった。彼女たちこそ、そう遠くない将来に最も悲惨な状況に置かれる運命にあったが、それは、快い悲壮感と甘い夢に包まれた彼女たちが予想だにしなかったことであった。

 彼女たちと義勇軍の若者たちは、見合いによって結ばれるのが通常であった。見合いの方法はと言えば、花嫁養成所に入所する時の女性たちの戸籍謄本や写真、そして満州から送られてきた若者たちの資料、これらを検討して組合せをつくるのであった。この組合せが決まると、満州の若者が日本にやってきて見合いするのだが、大体は、最初の組合せでうまくいったということである。

 今、70代を越えているお婆さんたちに結婚のいきさつを聞くと、親が決めてくれたからと答える人が多い。また、結婚の晩に初めて相手の顔を見たとか、結婚式の時近くでよく見たら見合いの時の人と違っていたがしようがないと思ったとかいう話をよく聞く。自由結婚が徹底している今日とは異なった時代背景があったのである。

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「炎の山河」を連載しています。

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