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2009年11月14日 (土)

遙かなる白根 第141回 子どもたちの叫び

白根開善学校は都会から遠く離れた山の中にあるが、それでも激しく揺れ動く社会の影響を受けるのは当然である。創立期からの生徒の動きを見てくると学校全体が変わりつつあるようにも思えてくるのである。次に取り上げる弁論(作文)からはそのような学校の変化とそれに悩む生徒の姿が伺えるのである。

 

平成6年高等部2年A

   -先生も学校も変わってしまう

 A君が今一番思うことは、学校の空気がギクシャクしてきて本当の自由がなくなってきたということである。A君がこの学校に入ったのは中学3年の冬で、その頃は先生方にも都会の先生にはないおおらかなものがあったと思う。A君はそれが気に入っていた。しかし高一になってから学校が少しずつ変わってきたように思える。先生が厳しく接するようになったことだ。それは、親たちがいろいろと口を出すことが原因だとA君には思える。親とすれば子どものためにと思って学校に対してあれこれ言っているのだろうが、生徒はそのために学校全体がとても息苦しいと感じるようになった。

 いままで、先生と生徒たちはうまく生活してきたのに、それを壊しているのが親のようにA君には思えるのだ。自分の子どもにどうしても厳しい教育をさせたいのなら、この学校をやめさせてどこか頭のいい学校にいかせればいい。A君はこの学校の自由なところが好きだ。いい友達も出来た。先生ともうまくやってきたと思っている。しかし、今みたいに新しくできたきまりで生徒を縛れば、そのうちきっと生徒は反発し、友だちとの関係も、先生との間もうまくいかなくなると思う。A君は以前この学校には、自分のことは自分で解決できる人が沢山いたように思う。寮の中にも生徒の中だけできまりみたいなものがあったが、今どんどんそういうものが無くなっている。親は子どものことが分からないで学校に注文ばかりつける。こんなことを続ければ学校はどんどん悪くなってしまう。A君は、親の意見が原因で毎日ため息をついて過ごすのがとてもいやだ。A君は、最後に次の言葉でしめくくる。

「父兄の皆さんは、生徒たちをもっと信用して自分の子どもの意見ばかりを取り入れず、全生徒のことを考えて、じっくり見守ってほしいと思います。」

★この連載も、1121日で終わります。次の連載は拙著「炎の山河」です。「地方から見た激動の昭和史」という副題がついています。恩師の林健太郎先生が「すぐれた歴史叙述」と評価してくれました。どうか、ご覧下さい

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