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2009年10月17日 (土)

遙かなる白根 第132回 子どもたちの叫び

― K君はとてもナイーブな神経の持ち主らしい。東京の学校では、何かで傷ついて登校できなかったのだろう。白根の山中で新天地を見つけたK君は幸せな少年だ。寮では人間関係が難しく、このことに悩む子ども達は多い。K君はタコ先輩のような優しい良い友を得た。K君は人間関係、友達関係の大切さを発見したが、同時にそれは新しい自分の発見でもあった。白根開善学校は、K君のように自分を発見するのに最適な環境なのである。K君の話を聞いて、私は100キロメートル強歩の、ある場面を思い出す。それは、先輩らしい生徒が後輩を励まし支えながら重い足を引きずっている姿である。K君もタコ先輩に助けられて強歩に臨んだのかもしれない。

昭和58年度高等部一年Yさん

― 太ももの傷は心の傷

 Yさんは活発で可愛い女の子だった。小学校1年の真冬のある日、学校で大火傷を負ってしまった。新しい学校生活にうきうきして、近くでストーブが真っ赤に燃えているのも忘れて友達とふざけていた。その時、Yさんのズボンがストーブに引っかかってしまった。ストーブは揺れて、その上でチンチンと勢いよく蒸気を吹き上げていたヤカンが落ちた。熱湯はたたきつけるようにYさんの足にかかった。あまりの熱さにYさんは夢中になって靴下を脱いだ。靴下と足の皮膚が一体となって、もう一枚の靴下を脱ぐようにペロッと皮膚がはがれた。Yさんは真っ赤な肉のかたまりのような足から目をそらした。

「痛い、痛い」

 Yさんは、この言葉だけを言い続けた。その痛さは今でも忘れられない。お母さんがYさんを毛布につつんで近くの病院へ連れて行った。毎日病院に通ったが、手のつけようがなく、別の病院を紹介された。その病院には週に一度東京から偉い先生が来ていて、その先生のもとで「皮膚移植」の手術をすることになった。

◆土・日・祝日は、中村紀雄著「遙かなる白根」を連載しています。

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