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2009年10月 3日 (土)

遙かなる白根 第127回 子どもたちの叫び

ここでは創立期の昭和57年から平成6年までの弁論大会の出場者から7人の生徒を選び、その作品の中味を紹介し、白根開善学校の実態に近づきたいと思う。

 まず創立期の生徒の中から。

昭和57年度中等部K君

  開善学校の楽しいこと辛いこと

K君が開善学校に入学したのは1年前の6月のこと。5月の末に体験入学で来た時、K君は、なぜこんな山の中に学校を建てたんだろうと不思議に思った。今まで生活してきた都会とは全く別の世界に入ってゆくような不安を覚えたのだ。周りは山と木ばっかりで、本当にひどい所に建てた学校だと思った。

体験入学の時、まず疑問に思ったことがある。それは、全寮制の学校なのになぜ食べ物を持ってきてはいけないのかということだ。寮の先生達の部屋にはビールや食べ物が結構あった。特にビールなんか山のように三箱ぐらい重なっていた。お腹が減ると、食べ物がにぎやかに並んだ都会のお店の情景がちらついた。先生がとてもうらやましく思えた。

「先生はいいね、ビールとかお菓子をたくさん食べられて」

K君が恨めしそうに言うと、

「先生さまはお疲れになるからいいんだ」

先生はちょっとだけおどけたように笑って答えた。

 後にK君が正式に寮に入ってから間もなく、ある夜、突然一人の先生が部屋に入ってきた。

「エサはどこだ」

と言いながら先生はベッドの裏までひっくり返して捜査した。食べ物だけでなく禁じられた物を持ち込むことに学校は神経を使っている。

 また、K君は、自分の入学を振り返りながら、この学校にはちょっと変わった入学の仕方があるという。それは体験入学で来ていて、そのまま何となく入学してしまうことで、こういうのをK君達は「だまされ入学」と言っている。その例は結構あって、そういう入学のさせ方をしている間は、脱走する生徒は減らないだろうとK君は言う。

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「遙かなる白根」を連載しています。

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