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2009年9月21日 (月)

遙かなる白根 第122回 100キロメートル強歩序曲

本吉悦理君の作品 -不治の病・脱走

「開善生徒不治の病の生態観察と、その消長予測」悦理君が発表した作品の題である。400字詰原稿用紙17枚に及ぶ作品の中で扱われる開善生徒の不治の病の第一は「脱走」のことである。悦理君は、自らの脱走体験にもとづいて、この病の定義、発生の歴史、発病原因、病状類型、今後の推移というようにこの病を分析し考察している。高校生が書いた立派な論文である。私はこの作品を何度も読み返して、これは学園内の生徒によって書かれた、開善学校の生徒の実態を知る上での貴重な資料であると思った。以下、悦理君の論文に立ち入って、開善学校の脱走の実態をみることにしよう。

 悦理君は「はじめに」の中で、脱走、酒タバコ、無断外出の三大病が開善学校から消滅することはない、これらは不治の病である、と嘆く。学校創設期の混乱にふりまわされていた頃のことである。この三大病の中で、彼が、特に「脱走」をとりあげるのは、自らも一度は体験してこれとの関わりが少なくないこと、そして、脱走は、他の二つに比べて当事者の生き方、考え方、それに、持って生まれた個性などが濃く滲み出ていて興味深いからだという。

 まず、開善学校の病である脱走を「脱走開善型」と称して、その「病状定義」を明らかにする。それによれば「脱走開善型」とは、正規の許可なく学校を離れ、病人が、自宅あるいは知人宅などに潜伏した後、一定の期間(その長短は病人によって異なる)をおいて学校に帰ってくる行為である。潜伏期間の長短は病人によって異なると言っているが、この点でもう1つの病である無断外出との区別が問題となる。悦理君はこの点、近くの街に外出し、そこで短時間活動した後、一日の内に学校に帰ってくるのが「無断外出」であって、脱走とは質的に異なるものである、しかし、「無断外出」が途中で「脱走開善型」に変異することがあると分析する。

◆土・日・祝日は、中村紀雄著「遥かなる白根」を連載しています。

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