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2009年9月 5日 (土)

遙かなる白根(第116回)100キロメートル強歩序曲

そういう学校を実現するために、力を合わせて頑張ろうと、この父母たちは全学に叫びかけたのである。

これは、鉄拳のしごきを受けなくても、世の風に耐えて折れない強さを身につけることが十分に出来るのだということを言わんとしている。また、父母たちの発言は、鉄拳の制裁などを、少しはあってもよいではないかと心の片隅で懐かしく思う私のような人種の存在を計算に入れて、それをピシャリと否定しようとしているのである。

このように、緊急提案とそれを受けた父母たちの動きが広がって学校を少しでもよくしようとする様々な試みと努力が重ねられていった。例えば、それぞれの学年の父母研修会、全校父母と学校側の懇談会などが行われ、そこでは、悪しき伝統と呼ばれる他の問題(タバコ、寮内の衛生問題など)も真剣に議論され、対策が論じられた。しかし、それがどのような効果を生むかは、別の難しい問題なのだ。学校創立以来培われ、築かれてきた寮生活の伝統はちょっとやそっとのことでは変えられない地中深く根をはった大木のようなものであろう。この大木も世の風雪にさらされて時には病気にかかり、また時には傷つくこともある。樹木医は適切な手当てを施さなければならない。大木の幹に耳をあてれば、いろいろな内部の音が聞こえてくる。それは、寮の中で生きる子どもたちの生の叫びである。喜びの声もあれば悲鳴に似た声もある。このような父母たちと学校側の努力が続くなかで、寮生活における悪しき伝統を改めることの難しさを示す出来事が、また発生した。

叡智寮火災 -原因はタバコの不始末か

平成6年5月末のこと、白根開善学校は、恒例の韓国への修学旅行を目前にしていた。旅行に出かける5年生(高2)の生徒はほとんどがそれぞれの家に帰り、成田空港へ集合するための準備にかかっていた。

◆土・日・祝日は、中村紀雄著「遙かなる白根」を連載しています。

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