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2009年6月 5日 (金)

「菅家さん、無期懲役から17年ぶりの生還」

◇警察関係の常任委員会で、私は次のような質問をした(4日)。「裁判員制度が始まり、第一線で取り調べに当たる警察官の役割が増々重要になりました。取調べの段階で自白したことを公判で否認する例が多くなっています。適正な取調べをしないと被疑者の人権を傷つけ、さらに、警察への信頼も失われます。この点の取り組みはどうなっておりますか」

 これに対し県警は、裁判員制度対象事件で自白が問題となる取調べに録音と録画を行うと答えた。裁判員制度の対象となる事件とは殺人、強盗、強姦などの重い刑事事件である。裁判員制度導入の目的は裁判に対する信頼の回復である。ところで、取調べ段階の調書は裁判の行方を左右する程重要なものだ。しかし、一方で、素人である一般市民が裁判に参加することで間違った裁判(冤罪)が増えるという心配がある。とすれば、正しい取調べを担保するための工夫が求められるのは当然で、録音と録画はそのための手段である。

◇無期懲役が確定し服役していた菅谷利和さんが17年ぶりに釈放された。捜査段階では自白していた事件である。菅谷さんは記者会見で「間違いでは済まされない。私の人生を返して欲しい」と話した。当然である。菅家さんの姿を見て、正に地獄からの生還だと思った。再審が開始されて無罪が確定することになるが一度確定した裁判に対して再審が開かれるのは、極めて難しい。最高裁まで保障された手続きで審理を尽くしたことを簡単に覆すことは裁判の威信にかかわるからだ。余程しっかりした証拠が発見された場合に限られる。今回のそれはDNA型鑑定の結果である。

 鑑定の精度は急速に上がって2年前は800人に1人だったが、現在は4兆7000億人に1人となったと専門家は解説する。DNA型鑑定の結果が同じになる人の数である。

「自白して自分で罪を認めているのに」と人は言う。昔は、「自白は証拠の王」は言われ、自白させるために拷問が行われた時代もあった。それは過去のものとなったが人間は、取り調べ室という特殊な環境で「お前がやったのだろう」と執拗に繰り返されると認めてしまうことがあるのは数々の例が示している。菅家さんの場合、体液が付いた女児の下着が保存されていたから再鑑定が出来た。もし保存されていなかったらと考えると恐ろしい。他のDNA鑑定によった事件も間違っていたかも知れないと考えるのは当然だ。今後、再審請求が出るだろう。最高検は、体液の試料などの証拠品を保管するよう全国の地検に通達するという。

◇あべともよさんが女性の性犯罪被害者の事情聴取につき女性の立場から質問をした。被害者に選択させるが、強姦罪などはほとんど女性警官が当りその他の強制ワイセツ罪では男性警官が当ることもあるがその場合女性警官が同席するという。被害女性の心を傷つけてしまわないための配慮である。(読者に感謝)

★土・日・祝日は、中村紀雄著「遙かなる白根」を連載しています。

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