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2009年5月13日 (水)

「防災ヘリに乗る。八ッ場ダム訴訟判決」

◇総務企画常任委員会で防災ヘリコプターの活動状況を視察した。ヘリコプターの機能は驚異的である。時速250キロメートルで空中を移動して人や物を運び、空中で静止して地上の物をつり上げることが出来る。防災活動においてヘリコプターは魔法の力を発揮する科学の利器であることを実感した。 前橋市下阿内町の群馬ヘリポートでは、防災航空隊員が訓練をしていた。バリバリと轟音をあげて飛来した防災ヘリ「はるな」が、地上50mの空中に止まると、ロープにすがった隊員は、スルスルと地上におり、横たわる人を抱きかかえてヘリコプターに引き上げられていく。それを見て、私は、直ぐに日航ジャンボ機墜落の現場を思い出した。1985年(昭和60年)、ヘリコプターから伸びたロープの先には、自衛隊員に後ろから抱きかかえられた生存者川上慶子さんの姿があった。この時は、まだ、県の防災ヘリはなかったのである。 防災ヘリ「はるな」の就航は、1997年(平成9年)のことである。以来、病人の救急搬送、山の遭難者の救出、地震や水害で孤立した人の救出、森林火災における消火等々防災ヘリは大きな成果をあげてきた。 ◇約40分ヘリに乗った。地上500mを時速220キロで飛ぶ。眼下に、ミニチュアのようなまちや田畑や道路が過ぎていく。 鳥になった気分である。空の道は信号がなく山や川も関係なく一直線である。県内全域に約20分で達することが出来る。時間と距離を短縮するこの移動技術こそ人命救助のカギである。 ◇コース上に八ッ場ダムの建設現場があった。全体を一望したのは初めてである。新しい道路や橋がつくられ、山の斜面には人々の移住地建設が進められている。あちこちで動く重機が、土に首をつっ込んで餌をついばむ鳥のように見える。吾妻渓谷の流れは白く細い帯ののようだ。 首都圏の水がめをつくるために壮大な時代の歯車が回り出したのだ。激しく反対していた住民も建設が進み早く生活が安定することを願っている。 県議会でもダム建設の是非をめぐって激しい議論が闘わされてきた。私たちは、推進議連をつくって研修会も行ってきた。治水、利水の点からダムは必要である。ダムに反対する人々が原告となった八ッ場ダム訴訟の判決が11日、東京地裁であった。ダムをストップさせる会の主張は退けられ原告全面敗訴となった。予想していたことではあるが、私たちはほっとした。 同様の訴訟は利根川流域の5県で起こされており、前橋地裁の判決は6月26日である。長野原町の高山町長はほっとした表情で今後も住民の生活再建に全力で取り組みたいと語った。私はヘリの上から眺めた静かな自然が突如として荒れ狂う姿を想像した。このダム建設は、大自然との新しい調和をつくる問題である。 ☆土・日・祝日は、中村紀雄著「遙かなる白根」を連載しています。

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