「新型インフルの猛威は全世界へ」
◇新型インフルは増加の一途をたどっている。13日の時点で、感染者は34の国と地域で6千人に迫っている。WHOは、現在、警戒度「5」としているが、専門家は、最高度「6」に当たる状態と指摘しているのだ。
私たちは現在、「新型」発生という歴史的な出来事の中にいる。しかし一方では、過剰気味といわれる国の取り組みがあり、他方では、取り組みに極めて温度差のある地方自治体と危機につき半信半疑の大多数の国民の姿がある。これが私たちの社会の現実である。私はリード役の国が危機感をあらわにして目の色を変えるのは当然だと思う。
じたばたしてもしようがないが、まさかの時に備えるために情報を整理しておくことが重要である。この2週間の間に、「新型」インフルは世界中に広まった。これは、世界がひとかたまりになって激しく動いていることを示している。
WHOが新型インフルエンザ発生を宣言したのは4月28日であった。この時点でフェイズ、つまり警戒度は「4」であった。舛添厚労相が大きな目玉をむいて、深夜の緊急記者会見を行ったのは5月1日であった。その内容は、「カナダから帰国した横浜の高校生が新型に感染した疑いがある」というもの。これは、その後、感染はなしと判明した。
我が国最初の感染の確認が発表されたのは今月9日である。ノースウェスト航空25便でカナダから帰国した3人の高校生と一人の男性教師である。この便の同乗者に本県在住者2人がいたことは、「新型」が身近かに迫ったことを感じさせた。
◇本県は、「新型」発生宣言によって対策本部を立ち上げ、庁内に発熱相談所を設け、発熱外来の準備を始めた。発熱外来は、県内に「新型」が発生した段階で、公民館などに設けられる。県内では35ヶ所の発熱外来を予定しているが現在、医師確保の困難などから15ヶ所の確保にとどまっている。(前橋は予定は5で確保は1)
◇本県において、「新型」感染が疑われるケースが2例発生した。アメリカから帰国した母子とノースウェスト航空25便の搭乗者2人である。感染国からの帰国者はリストに乗せられ追跡調査をうける。母子は、一時連絡がとれなかったが、その後の検査でシロと判明した。ノースウェストの搭乗者は自宅で健康観察を受けている。国の水際作戦も対応しきれない状態に至っているから本県で「新型」が発生するのは時間の問題だろう。
◇ノースウェスト25便で帰国した我が国初の感染者4名は、感染症指定医療機関の成田赤十字病院に隔離され、同乗した濃厚接触者12名は、成田市内のホテルに「停留」されている。これらの対応の根拠となるのは検疫法である。同法では感染者の隔離と感染の疑いある者の「停留」を定めている。
◇現在のウィルスが変異を起こして強毒性のものになる恐れが指摘されている。そして、かねてから間近かだと呼ばれている鳥インフルからの「新型」が恐い。第三次世界大戦は目に見えない微生物との戦いかも知れない。人類は一つにならなければ敗北する。日本の役割は大きいのだ。(読者に感謝)☆土・日・祝日は、中村紀雄著「遙かなる白根」を連載しています。
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