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2009年5月17日 (日)

遙かなる白根(84) 100キロメートル強歩序曲

しかし、父母たちの不安と苛立ちは、日毎に大きくなっていった。子どもたちが、認可が下りないまま山にいることは、たとえ授業を受けていたとしても、欠席状態を続けることを意味した。もはや下界の学校に戻ることは出来ない。多額の入学金や寄付金も払い込んでいる。人々の感情は不安を通り越して危機感に変化していった。混乱と無秩序の中で、酒やタバコをやる生徒も出てきて、その規制をめぐって、教師たちの間に対立が生じた。小さな対立はやがて、教育の理念をめぐる深刻な対立にまで発展した。「認可を受けるために子どもたちの自由を犠牲にするくらいなら、あえて学校にする必要はありません」遂にこのように主張する教師も現われた。 山の学園の混乱は、その欠陥を自らさらけ出すもので、認可はますます遠くなる、認可は不可能なのではないか。父母も、教師たちも、危機感をつのらせ、それはどうにもならないところに近づいていた。 5月17日、京王プラザで一部の父母と主流派教師とのあつまりが行われた。ここで、いくつかの深刻な問題が出された。「本吉先生の建学の精神を理解しない教師がいる。そのような教師としての適格性を欠く者は、遠慮して欲しい」一人の教師が鋭く切り出した。「思想的にだめな教師には断固たる決意をします」普段は温和な吉本校長がその目に悲壮な決意を浮かべてきっぱりと言った。「学校はひどい混乱状態です。中学生でない年長の男の子がいて女の子が首っ玉にかじりついたりしているんです」一人の母親が思いつめた表情で指摘した。また、一人の父親が自らの調査に基づいて次のような発言をした。「群馬県が認可しないのは、基本財産が足りないからです。現在、学校建設の金が足りなくなっています。入学金や寄付で1億5100万円集まったが、用地に5500万円、校舎が6700万円、寮に500万円かかっています。そして現在1700万円の借金があって米などの食糧をつけで買っているのです。寮はプレハブなので、とても冬を越すことは出来ません。また高等部建設の資金については、財政上、全く見通しがないのです。このままでは、更に父母から集めるしかありません」 ◆土・日・祝日は、中村紀雄を連載しています。紀雄著「遥かなる白根」

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