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2009年4月 3日 (金)

「泰山の偉容のこと、3700段を下る」

Photo_2 ◇「宥座の器のこと、超党派で取り組みます、ハハハ」山東省人民政府の張東波(ちょうとうは)さんは丸い顔に笑みをたたえて大きな声で言った。「うまい洒落(しゃれ)ですね」と私たちも笑った。2日、早朝6時40分の私たちのスタートに合わせ、張さんは、ホテルのロビーまで見送りに来てくれたのだ。

 新幹線と高速道を使った過密なスケジュールの旅は終わった。それは、二千数百年の時を駆ける旅でもあった。私は、済南から青島に向う新幹線の中で、果てしなく広がる平原を見つめながら今回のツアーを振り返った。

◇4月1日、人民政府を訪ねたとき、私たちは日本から運んだ「宥座の器」を贈呈した。「孔子は、満ちて覆らない者はいないといって、中庸の徳の大切さを説きました。現在、中国にもないと聞いて現代の名工針生さんがつくりました」と須藤和臣議員が説明した。

 私は、水を運んでもらって実演した。ひしゃくで適量を入れると、鎖で下げられ斜めに口を上に向けていた壷は正しく上を向き、水を更に入れると口を下に向けて覆ってしまった。近く、等身大の本格的な宥座の器を孔子廟に置くことになったのである。

◇「泰山の安きに置く」などと諺につかわれる泰山とはなぜ中国人にとってそんなに重要な山なのか確かめてみたいという期待があった。2日、曲阜から高速道で1時間半、大平原の行く手に峨峨とした褐色の山が見えてきた。近づくにつれ、すそ野は短く、いきなり岩肌をむき出して屹立(きつりつ)する姿が迫る。昔の人が神の山と考えた事がうなずける迫力と荘厳さが伝わってきた。

 ガイドの王さんは、朝から泰山の事を話していたが、その説明に熱がこもる。高さは1545m、古くから道教発祥の地として信仰を集めてきた聖山である。

 歴代の皇帝は、この山に来て、神に自分の業績を報告し国の安泰を祈った。この封禅の儀式は天子(皇帝)が行う最高の儀式であり、皇帝は、この儀式を行うことによって、初めて天下に皇帝として認められるという重みのある儀式であったといわれる。秦の始皇帝以来72人の皇帝がこの山に登って封禅の儀式を行った。

◇私は7000段の石段に登ろうと考え運動靴を用意した。聖なる山に体力と気力の限界をぶつけてみたいと考えたのである。時間の制約でそれは初めから無理なことであった。

夕陽が傾きかけたころ、中天門から頂上の南天門までロープウェイで登り、私は、この間の3700段の石段を下りることにした。若い須藤議員が私の身を案じて参加した。杖にすがる年配の女性や黙々と登る若者の姿があった。振り仰ぐと切り立つ断崖が頭上に迫り細い石段が天に届くように見える。私と須藤君は47分で小走りで駆け下り下で待つ仲間に拍手で迎えられた。聖山の懐に飛び込んで全てを忘れて頑張ることで中国の歴史を肌で感じることが出来た。(読者に感謝)

☆土・日・祝日は、中村のりお著「遙かなる白根」を連載しています。

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