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2009年4月 7日 (火)

「中国・曲阜の旅・そして孔子を振り返る」

◇山東省人民政府から箱に入った和綴じの「論語」を贈呈された私は、曲阜の孔子廟の前に並ぶ店で、竹片を糸で綴った「論語」を買った。40枚の細い竹には、「子白学而時習之不亦説手」(子いわく学んで時にこれを習うまたよろこばしからずや)で始まる孔子の教えが書かれている。帰国して早速事務所の壁に貼った。論語は私の愛読書である。

 山東省西南部の都市曲阜(きょくふ)は、かつて周の時代、魯(ろ)国の都であった。孔子は、曲阜に生まれ魯につかえた。論語は孔子の言行録である。

 曲阜の町を走る多くの車は魯ナンバーをつけている。このことからも二千数百年前の歴史が現代社会に活きていることを感じる。曲阜における孔子の遺跡が文化大革命で破壊された傷跡は生々しく残っていた。ガイドの説明では北京から紅衛兵の先頭に立ってやってきた女性教師が孔子をしのぶ石碑を片はしから倒していたという。折れた石碑は鉄片で接合されているが亀裂は痛ましい。

 論語には、「過(あやま)ちて改めず是を過ちという」という言葉がある。孔子が見たら、過ちを改めた現共産党政権を誉めるのだろうか。

◇今、中国では論語の学習がブームになっているといわれる。私は済南の人民政府との会談で、日本人の心が貧しくなっていることを話したが、中国政府も中国人の道徳を心配しているのだ。

 鄧小平に始まる改革解放政策は、長く閉じ込められていた中国人の精神的エネルギーを一挙に解放した。欲望を求めて走り出した人々は止まるところを知らない。その結果、経済の格差が広がり対立や争いが多発している。そこで求められているのが中国社会の伝統的な倫理観である孔子の教えなのであろう。私たちが乗った新幹線の名は和諧号であった。

◇旅の中で天安門事件も話題になった。ガイドの王さんも当時学生運動に参加したという。豊になると共に価値観が多様化した社会を孔子の教えだけでまとめることは不可能であろう。中国では、これから、日本とは別の意味で政治に対する信頼が問われることになるに違いない。

 日本の政治家がよく使う「信なくば立たず」は論語の言葉である。帰国してこの意味を友人に聞かれた私は、贈られた「論語」を調べた。

 弟子から為政者の心構えを聞かれた先生は、民の生活の安定(食)と十分な軍備と政権への信頼だと答えた。弟子は三つのうちどうしても棄てなければならないものはどれかとたずね先生は軍備と答えた。次に、更に弟子は残った二つのうちどうしても棄てねばならないものはと問い、先生は、それは「食」だ、食がなければ人は死ぬが、人間はいつか必ず死ぬ、しかし為政者への信頼がなければ国家も人も立ちゆかないのだと答えた。これが、自古皆死有、民無信不立、(いにしえよりみな死あり、民、信なくば立たず)である。日本も中国も同じ問題を抱えていると思った。(読者に感謝)

☆土・日・祝日は、中村のりお著「遙かなる白根」を連載しています。

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