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2009年1月18日 (日)

遙かなる白根(44)序章 100キロメートル強歩序曲

「周平君、頑張るんだよ。痛いのを通り越して、またきっと速く歩けるようになるから」

周平は、うんうんと首を振ってうなづいている。子どもたちは次々に到着し、少しの間休憩し、その間励ましあい、情報を交換しあって、また出掛けてゆく。

100キロのコースは六合村を流下する白砂川に沿った部分と浅間山麓の高原地帯に大きく分けられ、この二つのエリアの中間に長野原の町並みと滝原の林道があった。この林道は、“行きはよいよい帰りは恐い”という場所なのであるが、周平にとっては、行きの段階で早くも恐い道になりつつあった。与喜屋公民館の入口近くには「滝原林道」の標識が立っている。林道の長さは約6キロ。ここを通過すれば国道146号に出る。そしてその先は、浅間火山の北麓につながる広い浅間高原地帯である。滝原の林道は、吾妻川に注ぐ熊川の斜面から浅間の火山地帯へ通じる緑のトンネルである。例の二人組も出発した。茶髪の女の子も、新たな道づれの女の子をみつけて元気な足どりで林道に向った。周平は足の痛みがまだ治らないまま、先へ行った仲間を追うように林道をめざして歩きだした。

 秋が深まっていた。赤と緑を織りまぜたような山波が、煙るように熊川の谷を埋めて遠くまで広がっている。

 その昔、源頼朝が「よきや」と叫んだことが地名の由来だという言い伝えがあるが、よきやとはこの当りの自然の美しさを誉めたのかと想像されるほどの目を見張る景観である。

滝原林道を越えて

林道に踏み込んだ子どもたちの表情は変化していた。尻焼や花敷のあたりでは話し合う声も聞かれたし、緊張感のない顔つきでだらだらとした足どりで歩いている子もあちこちで見られた。それは、JR六合山荘や六合村役場の近くの青年婦人会館あたりでも同様であった。ところが、

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「遥かなる白根」を連載しています。

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