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2009年1月10日 (土)

遙かなる白根(42)序章 100キロメートル強歩序曲

周平は、今年こそはどんなことがあっても完歩するのだと言った父の声が、どこかから聞こえてくるような気がした。

花敷の先で、道は国道405号に合流し、それは白砂渓谷に沿って南下する。ここまで来ると子どもたちもばらばらになって、足の速い者は遥か先を進み、後続の遅いグループとの距離を広げていた。

100キロメートルの全行程には21のポイントが設けられ、各ポイントにはテントが張られ、予め決められた時間帯に何名かづつの父母が割り当てられて待機する。父母たちは通過してゆく子どもたちを記録し、コース上の情報の入手や怪我などの事故にも備える。また、ポイントには簡単な飲み物や食べ物も置かれていて、子ども達はしばし休憩を取ることもできるのだ。

スタートしてから2時間と少しが過ぎていた。雨もあがり、周りの山々もくっきりと姿を現した。白砂川の対岸の山の斜面を、白い霧がゆっくりと流れている。白砂渓谷の所々にはまだ夜の残りの黒い影が澱んでいるが、そのあたりから谷川の音が勢いよく響いている。谷底の瀬音に交じって、鳥のさえずりが聞こえてくる。

周平の前に、湯川にかかる湯川橋が近づいた。橋を渡って坂道を少し進めば荷付場といわれる所に出る。ここで周平たちが歩いてきた国道405号は、草津から長野原に至る国道292号に合流する。そしてこの合流点から程近い所に、第一ポイントのJR六合山荘があった。ここは、JRが経営する山荘の一角であり、民芸品や村の農産物などを売る商店もある。

白砂川に沿って下る

 周平は、このJR六合山荘を6時33分に通過した。先頭を行く5年生(高校3年生)の鎌倉哲君は、このポイントを5時35分に通過して、周平が第1ポイントに着いた時は、既に、4.18キロ先の第2ポイント、青年婦人会館を小走りに通過していた。驚くべき速さである。周平は第1ポイントでは、休むことなく先へ急いだ。「昨年、お母さんはこの第1ポイントの当番で、もっと休んでゆけと引き止めたため、ここで遅れをとった」そういう思いが周平の胸にあった。

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「遥かなる白根」を連載しています。

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