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2008年12月21日 (日)

遙かなる白根(36)序章 100キロメートル強歩序曲

第8回は台風の中のスタート

毎回の「強歩」は熱いドラマの展開であるが、特に「第8回」は、強歩史上初めての出来事が生じた。この強歩の実施は、昭和62年10月17日であったが、その前日、台風19号が日本に上陸した。台風は、恒例の白根開善学校の強歩をも直撃することになったのである。

台風19号は近畿、中国、四国、東海地方に大きな災害をもたらした。当時の新聞によれば、鳥取県、香川県などで死者8人、また徳島県の海岸では、外国の大型貨物船が浅瀬に乗り上げ、船体が壊れるなどの被害が報じられている。同時に新聞は、「16日夜から麻痺状態に陥っていた陸海空の足は、17日早朝から徐々に平常に向っている」と報じていた。

開善学校の全国の父母たちは、前日の金曜日から学校へ向っていた。子ども達の歩くコース上の各ポイントで、それぞれ決められた役割を果たすためである。父母たちは皆心配だった。積み重ねてきた準備、今年こそはとこの日にかけてきた子どもたちの努力、それが無駄になるかもしれないと思うと、誰もが気が気ではないのである。

「強歩、ほんまにするねんやろか」

「夜中にでも台風、逸れたらええのに」

ある関西の父母は雨の高速道路を飛ばしながら心配していた。このとき、ラジオのニュースは台風の進路は日本列島を継壇断し、新潟県佐渡島に向うと報じていた。

白根の山中では、先生も生徒も刻々と変わる台風情報に前日から神経を集中させていた。子どもたちには、それぞれ、今年こそはという思いがあるのだ。そして、先生には、一緒に暮らしている彼らの気持ちが痛いほどよく分かる。それだけではない。本吉校長を初めとする先生達は、強歩の意義やその教育効果を信じている。今年も子ども達に是非、強歩を体験させてやりたいと、祈るような気持ちであった。

前橋気象台の最新情報によれば、翌17日は、朝のうち雨は残るが天気は急速に回復するということであった。先生たちは、本吉校長を囲んで協議を重ねた末、多少雨が残っても決行するということになった。

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「遥かなる白根」を連載しています。

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