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2008年12月14日 (日)

遙かなる白根(34)序章 100キロメートル強歩序曲

「時々、脱走する子がいるんだって。冬は雪で大変だけど、スキーで脱走した先輩もいたそうだよ」また、新しい情報が報告される。「この山の学校で頑張るのは大変なんだな」「やめろよ、そんな話ばかりしていると周平君がいやになって、もう山へ来なくなるぜ」「おい周平、大丈夫か、入学するのか」めいめいの者がいろんなことを言っている。聞きながら周平は、小学校時代の情景を振り返っていた。この山の学校でどんなことがあっても、あの小学校よりいい。僕は耐えられる。じっとうつむきながら周平はそう思った。平成7年4月22日、周平は体験入学を無事終了し、合格と認められた。そして4月28日、正式に白根開善学校に入学した。 第2章 100キロメートル強歩 「強歩」の歩み100キロメートル強歩は、白根開善学校を象徴する一大行事である。開善学校の「強歩」には長い歴史がある。学校創立者の本吉氏は、鹿児島県の旧制中学の時代にこの強歩を体験した。今でも昔の同級生が集ると、必ず強歩の話が出る。忘れることのできない懐かしい思いでになっているのだ。開善学校をつくる時の困難も、この体験が支えになり乗り切ることができたという。本吉氏は、学校をつくったら生徒にこの強歩をさせたいと、以前から考えていたのである。今日、白根開善学校の多くの生徒が100キロメートルを堂々と完歩する。これは、かつて学校創立の頃、地元の長老山口仙十郎さんが、都会から来た子どもたちを案内して歩いた時、僅か数キロの距離が子どもたちにとって大変なことであったと、父母機関誌「白樺」の中で述懐されているのを振り返るとき、その凄さに驚くばかりである。これは多くの子ども達、そして父母や先生が、汗と涙で築き上げた伝統の力なのだ。またこれは、厳しくも美しい白根の自然、そして開善学校が子ども達を鍛え、育て上げた成果を示すものである。 ☆土・日・祝日は、中村紀雄著「遥かなる白根」を連載しています。

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