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2008年11月 6日 (木)

「人類の歴史的瞬間、黒人大統領の誕生」

45 ◇アメリカ各州の選挙結果を伝えるテレビの画面を、私は、固唾(かたず)を呑んで、わくわくしながら見守った。オバマは、伝統的に共和党が強かったバージニアやフロリダなども次々に制し、やがて劇的な大勝利が確定的になった。それは、アフリカ系の黒人大統領誕生が確実となる歴史的瞬間であった。

 勝利の広場に人々は海のように押し寄せていた。オバマの一言一言に人々は、うねる波のように応じた。私は、オバマの言葉に耳を傾け、メモした。「アメリカに不可能はない。黒人も白人も、ヒスパニックも、アジア人もない、また、共和党も民主党もない、今も、これからも一つの合衆国があるのだ。もっと対立が激しかった時代にリンカーンは言った。対立しても敵ではなく友人なのだ、対立があっても友情の絆を切ってはならない、と」

 未曽有の困難に直面したアメリカ人にオバマは一つになって力を合わせれば不可能はないと訴えている。

 それに対して、人々は、「ウィ、キャン、ドゥ」(我々は出来る)「ウィ、キャン、ドゥ」と一斉に応えた。

 オバマは、続ける。「アメリカ史上最も素晴しい選挙だった。皆さんがこれを可能にしてくれた。今夜、私たちの手で、この選挙によって、まさにこの瞬間に、アメリカに変革をもたらすことが出来た」

 この素晴しい勝利を可能にした力をもってすれば、変革は可能であることをオバマは訴えている。これに対して、又、「ウィ、キャン、ドゥ」「ウィ、キャン、ドゥ」の大合唱が起きた。

 私は、この光景こそ、アメリカ人が元気と希望を取り戻した姿だと思った。そして、アメリカは素晴しい理想の国だと思った。このアメリカ人のエネルギーを評価したかのようにニューヨーク市場の株は急上昇した。日本の政治家が大衆に向かって格調の高い民主主義の理念を語りかけることはまずない。アメリカとは歴史的社会的土壌が違うから仕方がないとはいえ、政治家として淋しい思いがする。

◇アメリカは、「人は生れながらにして平等」という理念に基づいて建国された。この理念の下では肌の色による差別は許されない筈であるが、現実は膨大な奴隷が社会を支えていた。その後、リンカーンは、現実を理想に近づけるために奴隷解放を行ったが、肌の色による差別はその後もなくならなかった。コロンブス以降、何千万ともいわれる黒人が奴隷としてアフリカから新大陸に渡った。アフリカ系の黒人が世界最強の権力の座に着く。これは、アメリカンドリームの劇的な象徴であると同時に、まだまだ人種偏見が根強い世界の現状に衝撃を与える人類史上の出来事なのである。来年1月の大統領就任式ではより練られたオバマの演説が聞けるだろう。(読者に感謝)

★土・日・祝日は、中村のりお著「遙かなる白根」を連載しています。

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