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2007年12月14日 (金)

「鉄腕アトムがやってくる」

◇バイオリンを弾くロボット、二足歩行で連携して物を運ぶロボットなど、高度なロボットが現れつつある。SFの世界の事かと思われるようなロボットの進化が急速に進んでいる。ある試算では家庭用ロボット販売の市場の規模は10年後には3兆円以上になるという。オフィスでの利用、家事や介護を支援するロボットなどを想定しているが高齢少子化社会の進行と密接に関わることだと思う。

 私の友人が愉快そうに言った。

「家に帰ると美人のロボットが手をついて、あなた、夕食にしますか、お風呂にしますか、それともおやすみになりますか、なんていう時代になるのかね」。私は言った。「いや、ご主人様オムツを変える時間ですよ、かも知れないね」と。

◇ロボットといえば誰もが手塚治虫の鉄腕アトムを思い出すだろう。私も鉄腕アトムと共に育った一人である。雑誌「少年」に鉄腕アトムの連載が始まったのは、昭和27年のことである。アトムを製作した天才科学者天馬博士は群馬の出身ということになっている。感情をもつアトムはお茶の水博士の下で家族を与えられる。お転婆で可愛い妹はウランちゃんだ。100万馬力で何でも動かしマッハの速さで空を飛ぶ。アトムは素直で正しい心を持った少年である。今から50年も昔、私たちはアトムに夢中になった。あの頃、生きているうちにアトムの仲間が実現に近づくとは思わなかった。日本のロボット研究者の多くは「アトムを創りたい」という動機で研究に入ったといわれる。子どもに夢を与えることは不可能を可能にするのだ。

 ホンダが開発したアシモは状況に応じて自分で判断して行動し複数のアシモが作業を分担できる。道を譲ったり自ら充電も可能だ。オフィスなどで接客用に利用するロボットが10年代の早期に実現の見込みという。トヨタも介護など生活をサポートするロボットを10年代の早い時期に実現するために現在約100人の研究者が真剣に取り組んでいる。

 ロボットと人間の関わり蜜がになれば、安全性や悪用ということも問題になる。経済産業省は「幼い子供に対して危害を加えない」といった安全基準を整えようとしている。ロボット倫理憲章には、「ロボットは人間の命令に従順である友人・お手伝い・パートナーとして、人間に危害を与えてはならない」、「ロボット製造者は人間の尊厳性を守るロボットを製造しなければならない」、「ロボット使用者はロボットを人間の友人として尊重すべきで不法改造やロボットの乱用を禁じる」などが定められている。また千葉大学ロボット憲章には、将来、知能ロボットが著しく進化して人類に害をなすことを防ぐため、ロボット研究者の倫理を定め、研究者は平和目的の民生用ロボットに関する教育・研究開発のみを行うと規定する。天馬博士が「ロボットは人間を越えて進化する」といい、また、アトムを自分の目的のために利用しようとしてお茶の水博士と衝突する場面は、今や現実の問題として考えられるようになった。手塚治虫の世界に改めて驚かされる。

☆土・日・祝日は、「望郷の叫び」を連載しています。

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