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2007年7月21日 (土)

「いよいよ今日一日だ」

早朝6時半より、前橋青果市場を候補者と回る。私の選挙の時と同様な風景がくり広げられている。候補と小走りに広い場内を動くと私に近づいて握手を求める人も多い。「今度はこの人ですよ。あと一歩です。必ず勝ちますからお願いします。」

 上げ潮ムードがなによりの栄養剤となっているのであろう、我が候補は疲れの色を見せない。ある八百屋の親父さんが言った。「今日一日だ、ぶっ倒れるまで頑張れ。俺たちがついているぞ」と。

 昨日、高崎市では、相手候補と同じ会場でわずかな時間差で決起集会が行われた。「一目瞭然両陣営の結果が分かるから何としても負けるわけにはいかない」と先輩議員が語っていたが、結果は、我が陣営に遥かに多くの人が集まり、会場は新知事誕生を求める熱気であふれた。

 高崎は、前橋と比べ一歩遅れているという見方もあったが、福田元官房長官が全力を傾注していることもあって、大きな流れが出てきた。福田さんは、自分の選挙でもみせたことのない熱の入れ方だと多くの人が言っている。

 昨日のある会合で、私は次のように訴えた。

「戦いについては、地の利、人の和、時の運と言われますが、時の運は間違いなくわが方にあります。長すぎる、多選は良くないと誰もが言っています。強大な権力が長く続くと行政が不公平になります。そして、全県民が力を合わせることが出来なくなるのです。この時の運を生かすものは、人の和です。心を合わせ、最後の力を結集して勝利を獲得しましょう。全国が注目しているこの選挙です。そして、群馬県民の良識が問われる戦いです。」

青果市場から、いったん自宅に戻り、朝食をかっこんで、間もなく、候補者カーに同乗する。その寸暇にこの一文を書いた。土日は、「連載」の予定だが、特別の日なので、原則を変更したのである。「私の今の心境は、人事を尽くして天命を待つである。」そして、天命を信じることができるのである。

シベリア強制抑留『望郷の叫び』(6)第1章シベリア強制抑留の真実を求めて

ドミトリーの端正な顔には品があって、私を見る目は正直に心のうちを表しているようだ。私は素直に受け取ることにした。ドミトリーの話を聞きながら外を見ると、トヨタやホンダの車がやたらと目につく。そして、クール宅急便とか、何々運輸などという表示をつけ日本で使われていたままの姿で走っている車もある。シベリアで意外な日本に出合った思いで嬉しくなった。車内には、旅の疲れを癒すなごやかな空気が流れていた。街には緑が多い。車道と平行している並木は何だろう。聞いてみるとポプラだそうだ。そうこうするうちに車はインツーリストホテルに着いた。

インツーリストホテルはアムール川の近くに建てられている。私たちは、ロビーで明日からのスケジュールについて打ち合わせをして部屋に入った。部屋に落ち着く間もなく、私はアムール川を見たくなった。実はまだ、シベリアの実感を得ていないのだ。そのためにも、シベリアの大河アムール川をまず見たいと思い、一人で外に出た。

 ホテルの外は緑の木々と、その間に点在する建物で視界は遮られている。私は、アムールの眺望を求めて、直感の命ずるまま、迷わず小高い丘へ通じる坂道を選んで急いだ。坂道は間もなく尽きて丘の上は広場になっており、その一角には、ロシア正教と思われる丸いドームを頂いた美しい金色の教会が建っている。振り返ると、この協会から一望する視野いっぱいに黒い大河が広がっていた。

折りしも雲の上の夕日は、天際を赤く染めてアムール川の中に没し去ろうとしていた。これがアムールの夕日かと私は、しばし呆然として神秘な自然のいとなみに見とれていた。そして、この光景は、かつての日本人抑留者を慰める

と同時に、望郷の念を限りなく募らせたのではないかと思った。

 遥かな遠方に幽かに広がる黒い影は、アムール川の中州か、それとも中国か。豊かな水量をたたえた大河は、静かにのどかに流れている。しかし、冬ともなればアムールの姿は一変し、結氷した川面を伝わる寒気は私たちの想像を超えるものに違いない。氷の上を、ぼろをまといよろよろと倒れそうに歩く抑留者の姿が目に浮かぶようだ。彼方には、次第に濃くなる夕闇の中にシベリア鉄道の長い鉄橋が、一本の黒い線を張ったように見える。私は丘の上からアムールの水面近くまで下りた。

☆土・日・祝日は、「望郷の叫び」を連載します。

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