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2007年5月27日 (日)

『上州の山河と共に』連載(81)「いよいよ決戦」

選挙戦も終盤に近づく頃になると、序盤、中盤と比べ、情勢の変化がはっきりと感じられるようになってきた。選挙カーに対して手を振る人の数が目立って増えてきたし、その人たちの表情も真剣そうに見える。行き交う車からクラクションを鳴らし、あるいは、ライトをチカチカと点滅させてサインを送る人も増えてきた。町の人達のこのような反応は、私達に疲れを忘れさせ、当選に一歩一歩近づいていることを感じさせる。

ウグイス嬢のかすれた声に悲壮感がこめられ、それに刺激されるように、私の声も大きくなる。普段とそれ程変わらぬ筈の町の空気が、私達にはピリピリと緊迫したものに感じられる。当選も夢ではないという思いで、私達は夕闇迫る前橋市内を少しでも多くの町内をと、走り回った。

投票まであと三日という時点で、上毛新聞は、“前・新の三人急迫”という大きな見出しの下で、前橋市区の選挙情勢を分析している。“前”とは、共産党からカムバックを図る中島光一氏と、衆議院選に立候補して落選し、やはり再起を図る菅野義章氏である。そして、“新”とは、私、中村のりおを指していた。

同紙によると、私については、次のように書いてある。

「保守系新人の中村紀雄氏も、全市的に後援会組織を結成、地元芳賀地区から他陣営に激しく攻撃をかけており、“台風の目”的な存在。この為、現職の一人が食われる可能性も出てきた」

我が陣営は、誰もが無我夢中で頑張っていたので、自分達はどの辺を走っているのか、ゴールまでどの位あるのか、初めは全く検討がつかなかった訳であるが、このような新聞の記事は、ゴールが目前にあることを示すものとして、我が陣営の全ての者にとって大きな励ましであった。

投票日まであと二日と迫った日に、総決起大会が開かれた。この大会が、どの位盛り上がるかが、当落を予想する一つのバロメーターとされていたので、このような前橋の最北の地に、多くの支援者が果たして集まってくれるかと、私は心配であった。

その日は、空は晴れて、やや強い赤城颪が選挙事務所を囲むトタン塀をガタガタと鳴らしていた。そして、私は朝から緊張し、“皇国の興廃は、この一戦にあり、天気晴朗なれど波高し”というあの日本海海戦の折の文句を思い浮かべていた。

資材置場を片付けてつくられた広場の一角に大型のトラックが置かれ、その荷台には紅白の幕が張られて大会の舞台が作られた。

午後二時、開会の時が近づくと続々と支援者が集まり、ついに、広場がほぼいっぱいになる程になった。舞台の上からは、はるか彼方の前橋市街の家々が折からの太陽に反射してチカチカと光って見える。あんな所から多くの人が駆けつけてくれたと思うと、万感胸に迫るものがあった。

☆土・日・祝日は、以前からのご要望により「上州の山河と共に」を連載いたします

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