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2007年5月19日 (土)

『上州の山河と共に』連載(78)「いよいよ決戦」

 手を振る人がいないような状態がしばらく続くと、行き交う人々は、私の訴えを聞いているのだろうか、それとも、皆、他の候補者を支持しているのだろうか、と不安になる。しかし、しばらく選挙カーを走らせているうちに、私は、これは、人々に訴えを聞いてもらい、支持者となってもらう為の絶好のチャンスが与えられているのだと気付いた。チャンスを生かせるかどうかは、こちらの工夫と努力による。選挙カーを走らせながら、一人一人の人々と出会う時間は、数秒間にも満たない。しかし、この短い時間で、的確なメッセージを送り、印象付けることができれば効果は大きい。私は、選挙カーで訴えることは、私の声を聞く人達一人一人との間で対話を行っているのだと考えるべきだと思った。だから、短い的確な表現で誠意をこめて訴えなければならないと思った。

 手を振らない人、振り向きもしない人、これらの人々の耳にも、私の声は届いている。彼らは、私を支持するかどうかの一つの資料として、それを受け止めているに違いない。私は、このように考えて、後部座席のウグイス嬢とも打ち合わせ、その町、その通りの状況も考えながら、適切な表現を工夫して真剣に訴えていくことにした。

 それにしても、私のような新人にとって前橋市内を隈なく選挙カーで回ることは、重要なことであった。これまで一歩も足を踏み入れたことのない町、あるいは、町名すら知らなかった町がある。このような町の人々に中村のりおの存在を知ってもらい、たとえ何人でも支援者を摑まなければならない。ウグイス嬢も私も、この一声に当落がかかっているとばかりに必死で訴えて回った。

 私が選挙カーに乗っている頃、妻は、選挙事務所で頑張っていた。私のような無名の新人でも、選挙事務所へは、いろいろな人が訪ねてくる。事務所には、少数の後援会幹部が待機しているが、妻としての役割は重要であった。選挙では、候補者の奥さんの態度や感じの良し悪しが得票に大きく影響するということをいつも聞かされていた妻は、かなり緊張して気を使っているふうであった。妻には、私の目から見れば、教員生活を長くしていた為に世情に疎いとか、気が利かないといった点もあったが、それよりも、生来の気さくさとか、今も失わずにもっている純朴さなどがより大切であると思われた。そこで、私は妻に、緊張せず自然に振舞って方が良いと話していたが、本人とすれば、初めて舞台に立たされた人のように大変であったらしい。

 妻は、訪問客へ挨拶が済むと、休む間もなく、後援会長やその他の幹部の案内でいろいろな所へ挨拶やら支援のお願いやらに出かけて行く、まさに、息つく間もない激務の中にあった。それでも、妻は、非常に多くの方が身を粉にして働いてくれるのは誠に申し訳ないことだから、家族が苦労するのは当たり前と、必死に飛び回っていた。

☆土・日・祝日は、以前からのご要望により「上州の山河と共に」を連載いたします。

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