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2007年1月12日 (金)

「新年会のラッシュ、高年齢者は面白い」

老人会の新年会がいくつかあった。その中のある会で私は次のような話をした。

「私は毎日多くの高齢者に出会います。そして思うことは、前向きに生きている人は心も身体も若いということであります。今、世の中は乱れており、毎日信じられないような事件が起き、社会が崩れていく危機感を覚えます。しかし、高齢者の皆さんが立派に生きていることは救いです。高齢者の皆さんは社会を支える柱です。自信を持って前向きに生きてください。私は、若い人や子どもたちが、高齢者の皆さんと一緒に活動し皆さんから学べる社会を築きたいとおもいます」

 とにかくいろいろな高齢者に出会うのである。激動の時代を生き抜いて高齢期を迎えている人々の中には、若者にはない魅力を感じさせる人が多い。肉体的な輝きを失った後の輝きこそ人間たるゆえんである。そして人生の終わりを意識しながら真剣に生きる姿には本当に頭が下がる。自分は将来そのように生きることが出来るかと考えてしまう。

 ビルマ・インパール作戦の生還者Eさんを訪ねた。80歳を越えたが迫力は衰えを感じさせない。数年前この人が土をこねて焼いた鬼の面を誉めたら「持ってがっさい」といって気前よくプレゼントしてくれた。それは我が家の玄関正面に置かれているが、鬼気迫るのもがある。ビルマの戦場で生死の境をさまよった頃のEさんの心を表したものかと勝手に解釈し自分の心を引きしめるものとして大切にしている。久しぶりに会ったEさんの頭髪はすっかり白くなっていた。近況を語り合ううちに、彼は歌集を出したからあげると言ってぶ厚い「八十路のうた」を差し出した。

 その中に普段語らぬ妻をうたう句がある。

  •  年老いし妻に済まぬと思いつつなお我が侭を通す七癖
  •  吾黄泉(よみ)に旅立ちし後老妻を頼むと息子に声を落として

また、老いの淋しさをうたう句に心ひかれる。

  •  誰も彼も往かねばならぬ道なれど癒してくれる友の欲かり
  •  言い知れぬ侘しさに恐われむ八十路過ぎたる年の故にか
  •  八十路超え悲しき事は友の名の沈みしままに脳に浮かばず

豪放な日常の振る舞いの影に想像されるEさんの繊細な内面や死生観を知りたいと思っていたところであった。

◆更生保護女性会の新年会で異常な事件が多いことに触れたが、このところ死体を切断する事件が続いている。兄が妹の身体を切り刻んだとか、妻が夫の首や胴を切断した出来事である。これらの事件を伝える紙面やテレビの画面から死臭が伝わってくるようだと思っていたら、茨城でも切断された男の上半身が見つかったという。夜、死体にノコギリを引く姿を想像すると空恐ろしい。一体人の心にどのような変化が起きているのか。人の命を軽視することの先に人間を物体と見る考えが容易に現われるのか。これらの事件は極端な例外なのか現代人の病める心を象徴するものか大変気になることだ。

(犯罪のない健全な社会を願って。読者に感謝)

★土・日・祝日は以前からのご要望により「上州の山河とともに」を連載しております。

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