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2006年10月23日 (月)

死刑判決の急増をどう考えるか

 このところ、死刑判決が、実に多い。凶悪事件に死刑判決が下されたことがある所で話題になって、二、三の人は当然だと声を荒げて言った。死刑については、昔から賛否両論あるが最近の世論では賛成論が多くなっているらしい。

それにしても、次々と驚くような事件が起きてそれに死刑の判決が下るが、私たちの記憶からすぐに薄れていくのも事実だ。凶悪事件は、私たちの社会が病んでいることの表れでもあるのだから、他人事と考えずにしっかりと見つめる必要がある。被害者のことを考えると、その立場に私たちが立たされる可能性があるという視点も重要だ。

 そこで、いくつかの最近の死刑判決を取り上げたい。まず、静岡県三島市の女子短大生殺害事件。暴行した上、生きたまま焼き殺した事件である。その残忍さが、焼く臭いと共に伝わってくるようである。東京高裁は、一審判決の無期懲役をくつがえして死刑判決を下した。

次に最近の判決では奈良県の女児殺害事件がある。新聞販売店の従業員が小1の女児をわいせつ目的で誘拐し、強制わいせつ行為をし、自室の浴槽に頭を押さえつけて沈めて殺した。奈良地裁は先月死刑判決を下した。被害者のあどけない笑顔、伝えられる被告の生(お)い立ち、これらを見ると何ともやり切れない思いだ。

これらの二つの判決は、被害者が一人であるにもかかわらず死刑を言い渡した点に特色がある。従来、死刑を言い渡す基準は複数の命を奪った場合ということであった。

そして、オウムの麻原教祖に対する死刑判決があり、今月に入ってからは、母と子が死刑を言い渡された特異な事件がある。これは、福岡県大牟田市で起きた、「一家4人」が共謀して「母子ら4人」を殺害したとされる事件である。被告4人のうち母と次男に、福岡地裁は死刑を言い渡した。父親と長男については別の公判で審理中である。

親と子が死刑判決を言い渡されるのは極めて珍しい。父親が暴力団幹部というこの人たちは、一体どんな家族なのか。想像をはるかに超えるものがある。通常、どんな非道を犯す人も両親、特に母は別である。死刑を言い渡された母と次男は、非常に似た顔つきである。この母はこの子をどう育てたのか。金のために一家全員が共謀して次々と人を殺す、このような家族の存在は、一般社会の状況と全く無関係なのか、それとも、人命軽視、金銭万能という点でどこかでつながっているのか。これから明らかにされるであろう前代未聞の事件の全容を見守っていきたい。

最近、確定した死刑判決が90を超えるという。前法務大臣は、執行にサインしなかった。裁判員制度の実現も近づいている。死刑を考えることは、人間を考えることであり、社会を考えることでもある。

(凶悪事件が減ることを願って。読者に感謝)

★土・日・祝日は、以前からのご要望により「上州の山河と共に」を連載しています。

11月10日、グリーンドームで、面白い集いがあります。読者の参加を期待しております。

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