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2006年5月 5日 (金)

新憲法草案。憲法改正を考える。(5)

憲法には通常、「前文」がある。そこには、その憲法の重要な理念や制定者の決意などが現されている。自民党の新憲法草案の要点を紹介したい。

 先ず、冒頭の一節である。

「日本国民は、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する」

ここには、現憲法がアメリカの圧力で作られたことに対し、新憲法は自主的につくるのだという心意気が現われている。

これに続く次の部分は、2日の「日記」で書いた改正できない不変の価値を表明する。

「国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重、平和主義と国際協調主義、これらの基本原則は、不変の価値として継承する」

以上は、憲法を支える基本原理を示すものであるが、以下の各部は、草案の特色を現すものとして注目される。

「日本国民は、帰属する国や社会を、愛情と責任と気概をもって自ら支え守る義務を共有し、自由かつ公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実を図り、教育の振興と文化の創造、地方自治の発展を重視する」

国や社会に対する愛情と責任感と気概を重視する点は、日本人の心の問題に触れる点で注目される。この点は、教育基本法改正の方向と一致するものがある。また、地方自治の重視は、地方自治がこれからの社会の柱であることを主張するものである。いずれも、現憲法の前文にはないこと。

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため協力し合う。国際社会において、価値観の多様性を認めつつ、圧政や人権侵害を根絶させるため不断の努力を行なう」

この部分は国際協調主義を重視するものであるが、圧政や人権侵害の国に、アメリカと共同して自衛軍を出す場合の一つの根拠となり得るもの。

次は、最後の一節。これも憲法でとり上げる新しい観点である。

「日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球を守るために力を尽くす」地球環境がますます厳しくなることを予想するものである。

現憲法の前文には、「国政の権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者が行使し、その福利は国民が享受する。これは人類普遍の原理であり、日本国憲法はこの原理に基づく」こと、「日本国民は、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」こと、「全世界の国民が等しく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」などが書かれていた。

私たちは、2つの前文を比較その違う点が何を意味するのかを考えることが重要である。それぞれ、時代を支える原理や目指す目標が示されている。全文を比較し判断することは、私たちがいずれの社会を選ぶのかを問うことでもある。

(憲法を理解する輪が広がることを願って。読者に感謝)

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